Jun 15, 2018
皆様 本キャンペーンにご協力いただき、ありがとうございます。 6月12日(火)、太田啓子弁護士とともに、東京メトロと二度目の面談を行いました。 4月24日に署名とともに提出した本要請事項に関しては残念ながらまだ、回答が得られていないままです。今回12日の面談では、4月にARICで提示した質問事項に対する回答を受け取りました。 結論としては、女性専用車両への男性による悪質な乗り込み問題への対策として、ほとんど有効な回答は得られませんでした。 東京メトロの担当者の方は依然として丁寧な対応でした。しかし、要請・質問事項への回答は文書ではなく口頭にとどまり、その内容も事態の深刻さを全く理解したものではないと言わざるを得ません。 ※ARICが初回面談時の4月に提出した質問事項は以前のお知らせで公開しています。 質問事項に対する、今回の東京メトロ側の回答の内容を大まかにまとめると、以下のようになります。 (各質問項目に対する回答を整理したものは、本記事の末尾に掲載しています。) 女性専用車両への男性による悪質な乗り込み、また痴漢という性差別事件、そして民族などという他の差別事件に関しても、乗客による「トラブル」の一つとしてしか記録に残されていません。事件が発生した場合の駅員の対応も、一般的な接客とトラブル対応マニュアルとしてのみの指導にとどまり、性差別・民族差別といった差別対策のマニュアルはないことがわかりました。社員向けの人権教育は行われているようですが、あくまでも一般的な啓発にとどまり、具体的な差別事件を想定した対策を指導することは行われていないことが判明しました。 女性専用車両への男性による悪質な乗り込みに対しては、あくまで男性の乗客側に「降りてほしい」との理解と協力を求めるという対応はするが、拒否されたら何もできない、という回答でした。(ただ、場合によっては女性専用車両に駅員・乗務員が添乗するという対応はありうるそうです。しかしこの対応についても、駅員個人の判断ではなく、組織としての指示がある場合のみということでした)。 また東京オリンピックを控えた差別防止対策としても、バリアフリー推進を除けば皆無でした。東京オリンピック時に来日した外国人が差別に遭った場合を想定した対策は一切取られていません。また差別に遭った外国人が相談・通報できる窓口の開設も、その通報へのアナウンスもなされません。あくまで一般的トラブル対応の窓口で、事件発生の際に乗客から差別被害に遭った旨の申し出があれば個別で対応する、ということでした。 以上の東京メトロ側からの回答は、4月の要請時からなんの進展もない、非常に不十分な対応と言わざるを得ません。 また、今回、4月の面談を受けて新たにARICに寄せられた被害リポートも東京メトロ側に伝えました。それは、昨年東京メトロ千代田線において、2月の加害グループと同じグループが乗り込んで来たのに対し、乗客の女性が複数で抗議したところ、駅員は何も対応しなかったばかりか、被害者女性に対して暴言を吐いた、というものです。 東京メトロ側に確認したところ、この事件もトラブルとして記録しており、事件について把握しているということです。 しかし、それからというもの何の対策も取られずにいた結果、同じ差別グループによる被害が繰り返されています。しかもこの場合は東京メトロの駅員が女性に暴言を吐いており、被害女性の心身に深刻な影響を及ぼしています。 加えて近日、一連の事件を起こしている加害グループだけではなく、差別的な言動やヘイトクライムを繰り返している日本第一党が女性専用車両への攻撃を開始しました。今後も党員による乗り込み・それに続く女性への嫌がらせや暴力など、このような差別暴力事件が多発する可能性は大いにあります。多くの人が毎日利用し、ほぼ密室である電車車両内では、一層被害が甚大になるとも考えられます。 それを未然に防ぐためにも、鉄道会社が事後的に対処するのではなく、まずきっぱりと反差別の姿勢を打ち出し、事件発生時には厳格な対処をすることが非常に重要です。 反差別を宣言したうえで、個別の対策センターやマニュアルなどの整備をすることが喫緊の課題となっています。 東京メトロには、以上の内容に加え、1.女性専用車両への男性の乗り込みに対する規制、ルールを作り、啓発をすること、2.差別という語を明言したうえで、明確に禁止する姿勢を打ち出すこと、この二点を再度はっきりと、太田弁護士とともに要求しました。 ARICは引き続き、女性専用車両乗り込み・痴漢といった性差別、また民族差別に対し毅然とした指針を示すように、鉄道会社に働きかけていきます。 もし女性専用車両への乗り込み、攻撃を目撃、または被害に遭われた際は是非リポートをお送りください。個人情報を伏せた形で、鉄道会社への申し入れや、マスコミや弁護士と情報共有を行いながら解決につなげていきたいと考えています。 リポートはこちらから。 →https://antiracism-info.com/contact/ また、目の前で差別事件が発生した場合、第三者として安全かつ有効に対処できるように、「差別とのたたかい方」を紹介したパンフレットを現在制作中です。作成・配布のためにクラウドファンディングを実施しています。 キャンペーンページはこちら。 →https://camp-fire.jp/projects/view/71013 女性専用車両への乗り込みを目撃した際にもお使いいただけます。 今後とも、ご支援とご協力をよろしくお願いいたします。 反レイシズム情報センター(ARIC) 2018年6月16日 ※ARICが4月末に提出した質問事項、また東京メトロ側による回答(口頭)は以下のようなものです。 1.女性専用車両への男性による乗り込み、特に悪質な女性客へのハラスメント(恫喝・脅迫・侮辱・無断での動画撮影など)や乗務員による降車要請に従わない事件について、どのような措置を講じているか? 1)当該事件について調査を行っているか。過去に起きた当該事件の概要、統計などはあるか。 すべて「駅トラブル」として記録は残っている。しかし概要や統計は社内秘として、外部には公表しない。 2)当該事件発生時にどのような対応をしているか。それはマニュアル化されているか、そのマニュアルはどのようなものか。 一般の接客マニュアルとして社員に指導している。トラブルは、必要によっては警察への通報も合わせて対処するように指導している。 3)降車要請に従わない男性に対しどのような対応をしているか。 当該男性に意思確認をしたうえで、(女性専用車両から降車してほしいことについて)ご理解、ご協力をいただけるように呼びかけをしている。だが当該男性に断られた場合、私たちとしてはそれ以上何もしない。トラブルの場合、それ以上のことはできない。 4)今後どのような対策をするのか。現時点で検討しているものはあるか。それは何か。 従来と同じように、正しい理解を促進するために、乗客に対してより丁寧な啓発と案内をしていく。他の鉄道会社・警察とともに痴漢撲滅キャンペーンを行い、ポスターで被害者が声をあげたり、周囲の人間が声かけをするように訴えている。 2.痴漢など女性差別事件についてどのような措置を講じているか? 1)調査を行っているか。過去に起きた事件の概要、統計などはあるか。 トラブルとして記録は取っている。痴漢や女性専用車両への乗り込みは、トラブルの内容として記録している。 2)当該事件発生時にどのような対応をしているか。それはマニュアル化されているか、またそのマニュアルはどのようなものか。 これも一般的な接客マニュアルによって指導している。(※これについては前回4月24日初回面談時に、①乗客間のトラブルが発生し安全に鉄道運行ができない場合は双方の乗客を降車させるという一般的なマニュアル対応があること、②女性専用車両に男性の乗り込みで差別があった場合でも、トラブル対応として抗議する女性と当該男性の双方を降車させるマニュアル対応になっていること、が確認されている。) 3.民族や障がいなど他の差別事件についてどのような措置を講じているか? 1)調査を行っているか。過去に起きた事件の概要、統計などはあるか。 トラブルとして記録している。概要と統計は公表できない。 2)当該事件発生時にどのような対応をしているか。それはマニュアル化されているか、またそのマニュアルはどのようなものか。 同じく接客マニュアルとして指導している。事件が発生した場合は、係員への申し出があった場合、必要であれば警察へ相談するように指導している。 4.差別事件が発生した場合、乗客は東京メトロにどのような手続きで通報・対処を求めればよいのか? 1)現状で差別事件に関する通報・対処の手続きはどうなっているか。 客から乗務員、係員に声をかけるようお願いしている。(つまり東京メトロ側から差別について被害相談・通報を案内したり呼び掛けることはなく、あくまで被害者が自ら一般的な相談・通報を行わねばならない) 2)それは乗客に向けてどのように公表されているのか。 一般的にトラブルがあれば相談・通報してほしいことを周知している 5.公式ウェブサイトに公開されている「東京2020大会に向けた東京メトロの取組み」には障がい者へのバリアフリーの推進以外に差別防止・撤廃対策がみられないようだが、東京メトロは東京五輪オフィシャルパートナーとして差別防止対策をどのように講じるのか? 1)従来と同じか、従来とは異なる別の対策を講じるのか。それはどのようなものか。 バリアフリーに関しては、現在充実させており、これを維持していく。差別に関しては、全社員に向けて従来通り人権教育を行っているので、これを強化していく。 2)「東京2020大会に向けた東京メトロの取組み」のなかに「セキュリティの強化・自然災害対策」とあるが、差別やヘイトスピーチ(差別煽動)、ヘイトクライム(差別に基づいた犯罪)防止対策を講じる予定はあるか、それはどのようなものか。 警備の強化、電車車両内での防犯カメラの増設を予定している。 3)「東京2020大会に向けた東京メトロの取組み」なかに「多言語情報の充実」とあるが、訪日外国人に向けて、①東京メトロの差別防止対策について周知する、②差別事件に遭遇した場合どのような通報・相談体制があるかを周知する、という予定はあるか、それはどのようなものか。 お客様センターを通じ、(質問4の2への回答と同じく)周知に務める。 4)その他訪日外国人が、痴漢やヘイトスピーチなど各種差別に遭わないように東京メトロとして講じている対策はあるか、それはどのようなものか。 お客様センターが対応するようにしている。

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